賢い塾の選び方

６−０１８．高額教材会社の社員、違法な名簿狩りで逮捕

　卒業アルバムを営業目的で詐取、教材販売員逮捕
　（毎日新聞・２００３年１１月５日）

福岡県警は５日、営業目的で卒業アルバムをだまし取ったとして、福岡市博多区の教材販売会社「大成社」（本社・名古屋市）福岡支社サブマネジャー、梶原辰也容疑者（３６）＝同市城南区友丘１＝を詐欺の疑いで逮捕した。

調べでは、梶原容疑者は昨年９月上旬から今年５月上旬にかけ、北九州市八幡西区の女性（４４）ら３人に対し「中学校を紹介する本を出版する。娘さんの卒業アルバムにある校歌の部分だけコピーさせてくれ」などとうそを言って計３校のアルバムを入手し、住所録をコピーした疑い。

梶原容疑者は支社の営業部門の責任者。支社には福岡、佐賀、長崎、大分、山口各県の中学校計４３３校（生徒数約７万２０００人、教職員数１万１０００人）の住所録があり、梶原容疑者が部下に指示し、組織的に入手していたとみて追及している。「営業成績を伸ばすために自分で考えてやった」と供述しているという。

　教材会社の卒業アルバム詐取、７万２０００人分押収−−県警、容疑の社員を逮捕
　（西日本新聞・２００３年１１月５日）

教材販売会社が「校歌の本をつくる」などと言って中学校の卒業アルバムを生徒の保護者からだまし取った事件で、福岡県警生活経済課と久留米署は５日、詐欺の疑いで、福岡市城南区友丘、教材販売会社社員梶原辰也容疑者（３６）を逮捕。同容疑者が勤務していた同社福岡支社（同市博多区）から、福岡、佐賀、長崎、大分、山口五県の４３３校（生徒約７万２０００人、教職員約１万１０００人分）の卒業アルバムの住所録のコピーを押収した。

調べでは、梶原容疑者は昨年９月上旬から今年５月上旬にかけ、北九州市八幡西区の女性（４４）ら３人に「中学校を紹介する本や校歌を集めた本をつくる予定があります。娘さんの中学校卒業アルバムの校歌の部分だけをコピーさせてください」と言って中学校の卒業アルバム３冊を借り、名簿部分をコピーした疑い。

同支社では、この方法で名簿を集めることを「校歌特集」と呼び、営業部門の責任者のサブマネジャー梶原容疑者は約３０人の営業マンに指示し、九州各地でアルバムを集めていたとみられる。営業マンらは名簿を利用して、６０万円前後の大学受験用の教材を訪問販売していたという。

同署は６月、「子どもをだましてアルバムをコピーする者がいる」との通報を受けて、同支社を捜索した。

　考察

高額教材販売会社にとって、生徒の名簿は商売の生命線だ。だから、あの手この手で必死に名簿を収集している。しかし、ＰＴＡ側の防御姿勢は年々強まっており、以前よりも収集が難しくなってきた。何らかの形で人を騙さない限り、手に入らないというのが現状だ。

しかし今回、「騙して名簿を手に入れる」という作戦の実行者が、詐欺罪を適用され逮捕されてしまった。これは高額教材販売会社にとって大ピンチだ。名簿収集活動をするたびに逮捕者が出るようなら、誰も名簿狩りをしたがらなくなる。しかし名簿がなければ商売はできないので、高額教材販売会社は社員に高額の報奨金を出したりして、何とか名簿狩りを続けようとするだろう。するとどうしても、逮捕者が出てしまう。こんな調子では、前途に失望して退職者が続出するであろうし、そのような危険なビジネスであることが世間に知れれば入社希望者も減って、結果的に高額教材販売会社は社員数を減らすことになる。さらに、高額報奨金の支払や名簿の質的劣化による販売効率の低下などにより、高額教材販売会社はこれまでよりも儲からなくなる。

名簿狩りに遭遇したら、そのほとんどは「騙して名簿を手に入れる」という作戦のはずだから、即刻警察に通報しよう。このような逮捕例があることから、自分の身分や連絡先を明かして名簿狩りをする業者はあまりないだろうが、名簿狩りの際にうまいことを言って（たとえば、コピーして送ってやるとか、用意できたら取りに来ていい日を連絡するとか）、相手の連絡先を聞き出せれば、逮捕に結びつきやすくなるはずだ。あるいは、まったく相手にしたくない場合や、どうしても相手の連絡先を聞き出せない場合は、「このような方法での名簿狩りは詐欺罪になるぞ」と言って追っ払えばいい。

次の項目　−−−　６−０１７．国税局から所得隠しを指摘されたトライ

トップページへ戻る