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６−０１５．脱税で逮捕・起訴された高額教材販売会社・川渕商事（あすなろ）

　２億９０００万円所得隠し、教材会社社長を脱税で逮捕
　（読売新聞・２００３年４月１１日）

東京地検特捜部は１０日、東京都中央区の教材販売会社「川渕商事」社長、川渕孝行容疑者（３８）（世田谷区）を法人税法違反（脱税）の疑いで逮捕した。

調べによると、川渕容疑者は同社のほか、教材を販売したり家庭教師を派遣したりする「アート進学センター」（新宿区）と「浦和学習指導センター」（同）を経営していたが、２０００年までの３年間に、３社の架空の役員報酬を計上するなどして経費を水増しし計約２億９０００万円を隠し、法人税計約９４００万円を脱税した疑い。

　教材販売会社社長脱税罪で起訴−−３億円所得隠し
　（朝日新聞・２００３年５月１日）

東京地検特捜部は３０日、教育器財販売会社「川渕商事」（東京都中央区）などグループ３社の社長を務める川渕孝行容疑者（３８）を法人税法違反（脱税）の罪で起訴した。

川渕社長は９８から００年、３社の所得計約３億円を隠し、法人税約９７００万円を免れた、とされる。家庭教師を派遣する別会社「あすなろ」（名古屋市）を通じ、家庭教師の派遣先に教材を売るなどしており、不正所得を事業拡大や接待などに費やしていたという。

　考察

家庭教師派遣と偽って高額教材を販売していた会社の社長が脱税で逮捕・起訴された。あすなろは、手書き風のハガキＤＭや投げ込みチラシ、学生のテレホンアポインターを使って、さも学生たちの自主運営であるかのように見せかけて安心感を得るという作戦で、家庭教師派遣ビジネスを展開してきた。授業料が比較的安価なので、騙されて契約してしまった人が少なくない。

しかし、その実態は高額教材販売会社だ。家庭教師についての契約がまとまりそうになると、教材の話を持ち出してくる。「おたくのお子さんにぴったりの教材があります。これを使えば、学習効果が抜群なので、どんどん成績が上がります」などと景気のいい話をする。メールで寄せられた情報によると、家庭教師代は月４回の１回９０分で１２０００円（これだけなら確かに安い）、これに２科目・１年分の教材を加えて２年ローンを組むと、２４回払いで１回の支払は１８０００円とのこと。ということは、月々６０００円×２４回なので、教材費として支払う金額は１４万４０００円となる。「この客はカモだ」と見るや、２年分や３年分の教材をまとめて売りつけるらしい。そうなると、支払総額はぐんと高くなる。

契約が終わっても、なかなか１回目の家庭教師が来ない。教材も届かない。８日間のクーリングオフ期限が切れてから、やっと教材が届く。ぺらぺらのうすっぺたいもので、見た瞬間に「値段が高いのに、これはおかしい」と誰でも感づく。本部や家庭教師にそれを質すと、「教師が使っている指導書に準拠して、重要なカリキュラムに絞り込んであるので、この程度のボリュームでも不足はなく、かえってページ数が少ないのでしっかりと身につけやすい」などと言う。やってきた家庭教師は、とりあえず規定の時間は子供を教えてくれる。こんなもんかな、月々の支払は何とかできそうだし、と親はローンを払い続けてしまう。

このような詐欺的な商法を思いつく人は、順法精神など持ち合わせていない。とすれば、高額教材販売業界においては、脱税をしている業者の割合がかなり高いはずだ。似たような業者は山ほどいるので、税務当局が片っ端から税務調査をして、びしびし脱税で起訴して、刑務所に送り込んでくれることを期待したい。

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