賢い塾の選び方

６−００６．ベネッセ、家庭教師派遣事業へ参入

　家庭教師が指導、ベネッセ、非入会者も対象に
　（塾ジャーナル・２００１年１月号）

ベネッセコーポレーションは２００１年４月、小学校高学年から高校生までを対象にした家庭教師派遣事業に参入する。同社の通信教育「進研ゼミ」入会者への補助的な指導のほか、非入会者についても日常の授業の手助けをする。料金は家庭教師の標準的な水準とするが、中小事業者の多い業界で大手企業の強みを生かし、初年度に５６００人の需要を見込んでいる。

「進研ゼミの家庭教師」（仮称）は、まず東京、神奈川、千葉、埼玉の一都三県を対象地域に派遣する。教材の抱き合わせ販売につながることは一切せず、利用者の負担は受講料と交通費のみとする。家庭教師の派遣業者に多かった入会金や講師変更の手数料、解約時の違約金などをなくし、利用者に「透明な料金体系」を示すという。

講師は大学生を中心に募集、家庭教師としての一定の能力水準を確保するために採用試験と定期的な研修を実施した上で派遣する。受講生には進学希望校に関する情報などもベネッセ本部から提供する。

　考察

これはビッグニュースだ。先発の家庭教師派遣会社は、強大なライバルの登場に、大あわてしているに違いない。

先発の家庭教師派遣会社には、値段に見合ったサービスを提供してくれそうなところがほとんどない。そのため、業界の内情が分かっている塾の経営者や塾講師の子供で家庭教師派遣を頼んでいる人は、現時点では限りなくゼロに近いと思う。しかし、ベネッセの家庭教師派遣ならば、信頼できる気がする。明朗会計で、おそらく講師の研修もある程度（充分かどうかは分からないが）やるだろう。まさか、先発の家庭教師派遣会社の大半のように、募集だけして教務面の研修はほとんどやらず（営業的な面の研修だけはやっている会社もあるらしいが）、生徒の家へ送り出すようなことはしないと思う。

まずは進研ゼミ受講者や元受講者（その多くは、進研ゼミに好イメージを抱いている）が申し込むことだろう。そして評判が良ければ、進研ゼミ非入会者も、がんがん集まるに違いない。そうなると、先発の家庭教師派遣から乗り換える人も少なくないはず。先発の家庭教師派遣会社は、これまでのように、営業力だけでの生徒募集や不明朗会計、教材の抱き合わせ販売、無研修での講師派遣をしていたら、一気に生徒を失うことになる。淘汰が始まるだろう。そして同時に、家庭教師派遣業界の透明化・健全化が進むことになるだろう。

もしも将来、ベネッセが学習塾に進出してきたら、学習塾業界は大騒ぎとなる。市場の成長率や競合状況、先発各社のサービス内容などを考えれば、家庭教師派遣は新規参入しやすい業種だが、学習塾は比較的新規参入しにくいので、すぐにはそのようなことはないと思うが、家庭教師派遣が成功したらその勢いに乗って進出してくるかもしれない。

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