情報提供日：２００６年７月１８日
情報提供者：親としての良心さん（埼玉県）
長年、塾講師・家庭教師として指導してきた者です。同業者として、また母親としても、いい加減な教育産業が淘汰されることを望んでおりますので、投稿いたします。
娘はこの春、早慶のある学部に入学しました。「すごい！」と思われるかもしれませんが、高校時代の活動実績重視の自己推薦入試です。娘の高校は芸術系で、作品の入賞歴があったので、英語と小論文をプラスして合格できました。確かに英語は好きですし、小学生のときから作文コンクールでは毎年賞を取ってきたので、国語（作文を含む）は自信があると思います。
しかし、高校自体の偏差値は５５あるかないかですし、高校入試は得意科目の２科選択制、しかも実技重視という特性上、娘は普通の受験勉強をしていません。さらに（これは芸術系を選んだ理由のひとつでもあるのですが）理数系はかなり苦手で、というよりセンスがまったくなく、高校でも特殊なカリキュラムゆえ、ほとんどまともな高等数学を学んでいません。おそらく娘の数学の知識は中学生の標準程度だと思われます。
大学入学後、娘が大学生の常として家庭教師派遣業者や個別指導塾にアルバイトの問合せをしたところ、どこでも「早慶の女子」と聞いただけで大歓迎されました。「すべての科目が指導可能ですよね」とも言われたそうです。もちろん、本人は数学（算数）を教えられるとは思っていませんから、「文科系に限ります」と断った上で、＊＊バスという家庭教師派遣業者に登録をしました。
私自身この業界の人間ですので、娘のスキルのレベルはよく分かります。また、講師としてのプライドも良心もあります。そのため家庭教師派遣業者に電話して、「娘には絶対に理系をふらないでくださいね」と私からもお願いしました。
しかし、「分かりました、文科系だけお願いします」と約束していただいたにも拘らず、今回、中３の指導を３科目依頼されたのです。「絶対に無理です」と娘が拒否するのに、「どうせたいしたレベルではない。狙っている高校も低いところだし、学校のテストも３０点しか取れない子だから」、挙句の果て「できない子の気持ちはできない人のほうがよくわかるでしょ。一緒に勉強すればいいよ」とまで言われたそうです。
娘は数学こそできませんが、英語はある程度のレベルには達しています。国語と社会は中学時代は４か５、高校では学校で１番でした。そのため、「できない人」と言われてたいへん不愉快に感じました。そしてそれ以上に問題なのは、「できない子の気持ちはできない人のほうがよくわかるでしょ」という考え方です。できない子にこそ、すべてを理解して、その子に一番合った方法を取れるスキルの高い講師を当てるべきです。この＊＊バスという家庭教師センターは、家庭をどこまで馬鹿にするのでしょうか？
もともと娘は、受験をしない小学生や中学生の国語と英語、希望があれば実技科目の指導しかするつもりはなく、業者にはそう申し出ていました。そもそも家庭教師というよりは、テスト監督や採点者、イベントの手伝いなどの業務が希望でした。しかし、学歴を聞いて無理やり家庭教師として登録されたそうです。
こういうむちゃくちゃなことをする業者、大学のブランド名だけを信じて充分な指導力を持っていない者を平気で家庭教師として派遣する業者は、厳しく断罪されてしかるべきだと思います。